柳剛流は武州葛飾郡惣新田生まれの岡田総右衛門寄良(明和2年~文政9年)が開いた古武道の流派である。
 剣術(小太刀・二刀含む)・居合・薙刀術・突杖(杖術)・柔術を含み、特に臑に長刀を打ち込む脛斬り(跳び斬り)を特徴とする。
 岡田総右衛門寄良は心形刀流を大河原有曲(心形刀流第三代宗家の伊庭直保の門人)から学び、各地を旅して三和無敵流(三和無敵流第四代広沢長喜より学ぶ)や山本流などを修行したのち、独自に臑斬りの技を工夫して創始したとされる。幕府の親藩一橋家の師範となり、また神田お玉が池に道場を建てた。
 流名の由来は、古歌の「根をしめて 風にまかする柳見よ なびく枝には雪折れもなし」の意により、岸辺の柳が強い風で川面を売っているのを見た事から名付けられた。そして北辰一刀流をしのぐ門下数をほこったと伝えられる。
 岡田総右衛門寄良が全国津々浦々をめぐったことから、当門流は、数少ない実践武術として各地に根を下ろした。新撰組近藤勇もなれなかった幕府講武所の剣術師範教授方に、柳剛流の松平上総介が選ばれたのも故あることであろう。

 


 杖は長さ四尺、直径八分の木製杖を用いております。
 現在行われている突杖(杖術)は、無外流居合兵道中興の祖である中川申一範士より伝承された五本である。


 

▲上へ